Wooden noise barrier


木製遮音壁

道路を自然豊かに、より快適に。

1.木製遮音壁の開発(概要)

はじめに

長野県産材販路開拓協議会では、2013 年度から信州の木先進的利用加速化事業「県産材による高性能・低コスト木 製遮音板開発事業」の中で、新たな木製遮音板の開発に取り組みました。
そ の 結 果 、カ ラ マ ツ 製 遮 音 板[ 反 射 タ イ プ ]2 仕 様 と ス ギ 製 遮 音 板[ 吸 音 タ イ プ ]2 仕 様 に ついて、高速道路に必要とされる音響性能・曲げ強度性能等の基準値を満たすことができました。
2014 年7月には、中日本高速道路(株)様のご理解・ご協力を得て、これら4仕様の木製遮音板が中央自動車道の伊那ICランプに試験施工されました。

施工事例(中央自動車道 伊那 IC)

2.カラマツ製遮音板(反射タイプ)の概要

主な特徴

  • 遮音性能を維持できるように、すべての構成部材間にシーリング材を挟むとともに、通しボルト(ステンレス製)を入れて締め直しができるようにしました。
  • 低コスト化を図るため、十分な安全性を確保しつつ、製造工程の簡略化や材積の軽減を検討しました。
  • 遮音板の高さと長さは、一般的なコンクリート製遮音板と同じにしました。
  • 高速道路だけでなく、住宅地などいろいろな所に利用できます。

カラマツ製遮音板の施工状況

カラマツ製遮音板の施工
中央自動車道 伊那 IC ランプ(2014 年 7 月)
中央自動車道 伊那 IC ランプ 全景(2014 年 7 月)
カラマツ製遮音壁:円柱材仕様
伊 那 I C ラ ン プ( 2 0 1 4 年 7 月 )
カラマツ製遮音壁:角材仕様
伊 那 I C ラ ン プ( 2 0 1 4 年 7 月 )

3.スギ製遮音板(吸音タイプ)の概要

主な特徴

  • 従来からの反射タイプの木製遮音板に要求される諸性能を満たした上で、吸音性能も合格しました。
  • 遮音性能を維持できるように、遮音板間にシーリング材を挟むとともに、通しボルト(ステンレス製)を入れて締め直しができるようにしました。
  • 吸音材は、縦格子仕様がグラスウール、横格子仕様がポリエステル繊維です。後者は不織布のような構造を持っているため、経時的な変形が少なくなることが期待されます。
  • 遮音板の高さと長さは、一般的な吸音タイプの金属製遮音板と同じにしました。
  • 高速道路だけでなく、住宅地などいろいろな所に利用できます。

スギ製遮音板の施工状況

スギ製遮音板の施工 中央自動車道 伊那 IC ランプ(2014 年 7 月)

スギ製遮音壁:縦格子仕様
伊那ICランプ(2014 年 7月)
スギ製遮音壁:横格子仕様 伊那ICランプ(2014 年 7月)

4.木製遮音壁のメリット

木製遮音壁で道路をもっと” 豊か” に

  • デザイン的、景観的に優れています。
  • 木材の使用量が多くなります(県産・国産材使用の促進)。
  • コンクリート製遮音板より軽くなります(重さは 1/4~1/6) 。
  • 支柱等は従来の遮音板と同様のものが使えます。
  • 風荷重に対して、十分に余裕のある強度を持っています。
  • 耐塩性があり、コンクリート板より塩害に強くなります。
  • 木製遮音板は炭素の固定・貯蔵になります。
  • 木製遮音壁の前面や背面への植栽を省略すれば、維持管理費が軽減できます。

5.木製遮音壁ミニ情報(長野県内、全国)

長野県における木製遮音壁の歴史

1980 年代の半ばには、長野県林業指導所(現長野県林業総合センター)が、高速道路に必要とされる音響性能等を満たしたカラマツ製遮音板を開発しました。
そして、1985 年度には日本道路公団のご理解・ご協力を得て、中央自動車道の飯田IC南に延長 200mの試験施工が行われました。
この遮音壁は、わが国の木製遮音壁の第1号ではないかと言われており、施工後約 30 年経過となる現在も使われています。
その後しばらくの間、長野県内では木製遮音壁が設置されませんでしたが、2012 年度には中日本高速道路(株)によりカラマツ製遮音壁(延長 48m)が新設されました。
そして、2013年度からは上記の事業の中で、長野県産材販路開拓協議会が新たな木製遮音壁の開発に取組みました。
本開発においては、長野県林業総合センターからの技術協力も得ました。

1985 年度のカラマツ製遮音板の試験施工

わが国の最近の動向

地域の産業振興や治山治水等に加え、最近では地球温暖化防止等の観点からも新たな動きが起きています。
例えば「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」(2010 年)では、第 18 条において「ガードレール、高速道路の遮音壁、公園の柵」を例に挙げ、土木分野への木材利用の促進も明示されました。

わが国の遮音壁

  • 高速道路の遮音壁の総延長:約 3000km (東・中・西日本高速道路(株)のホームページより)
  • 木製遮音壁の総延長:約 12〜13km(国総研資料、第 335 号、2006より)
    この内、5km 余は群馬県内

6.問合せ・資料請求先

木製遮音壁は、一般道や店舗・幼稚園・工場・駐車場の外周など、 いろいろな所に利用できます。
反射タイプ・吸音タイプの新たな活用方法について、皆様からのご提案をお待ちしております。

一般道沿いへの施工例

施工場所:長野森林組合 更埴支所(長野県千曲市寂蒔 500-1)
Tel:026-274-1004

※現地へお越しくだされば、間近で実物をご覧いただけます。

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